2018年度 東京学芸大学 A類学校教育選修 小論文 模範解答
2018年度 東京学芸大学 A類学校教育選修 小論文 模範解答
問I
「説明教育」において伝達される知識は、言語化できマニュアル化できるデジタル知である。つまり、デジタル知は言語化されているがゆえに、その伝達においてマニュアルとして要領よく、順序立てて説明することができる。したがって、デジタル知に変換された技能であれば、言語化されたマニュアルにもとづいた丁寧な指示や指導を受けることによって、身につけることができる。それゆえ、デジタル知の伝達は、言語あるいはビデオのマニュアルによって、一定程度までの知識や技能を短時間で身につけることができる点において優れている。また、デジタル知は「説明教育」を通して、多くの人に伝達することのできる点が特徴である。たとえば、学校教育においてもデジタル知にもとづく説明教育が行われ、広く多様な知識が伝達されてきた。したがって、デジタル知の精密化や積み重ねが「説明教育」における知の伝達の長所として挙げられる。(387字)
問II
学校教育の現場においても、言葉によっては伝達が難しい知や能力の育成を「沈黙の教育」として実践することができると考える。というのも、学校教育においても、生徒が身につけるべき能力や人間性は、知識として教わることで身につけられるものばかりではないため、一人ひとり異なる生徒の成長を見守る必要があると考えるからだ。たとえば、生命を尊重する心、他者への思いやりや社会性、倫理観や正義感、美しいものや自然に感動する心等のいわゆる「生きる力」は、単に言葉や知識として身につけられるものではない。
したがって、生徒への指導のあり方を教科学習のようにマニュアルに従った指導を行うのではなく、生徒たちの豊かな心を滋養するために、学校生活における活動や体験を通して生徒自らが体得する場や機会を、教師が注意深く見守りながら、生徒が自分なりに何かを感じたり、見いだすことができるよう支援していく体制に変えていくことが必要だと考える。なぜなら、心のあり方は、徒弟制度において伝承される技と同様に、知識や言葉を伝えるだけでは育まれないと考えるからだ。したがって、教師もマニュアルに従ったり、言葉を用いて教え込むのではなく、辛抱強く生徒を見守る心や力が求められると考える。以上より、生徒たちの心が豊かになる瞬間を丁寧に見守っていくことが、学校における「沈黙教育」の実践であり、学校と教育に命を吹き込むものだと考える。(591字)
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