2020年度 東京学芸大学 A類 初等教育専攻 国語コース・B類 中等教育専攻 国語コース 学校推薦型選抜 小論文 模範解答

2020年度 東京学芸大学 A類 初等教育専攻 国語コース・B類 中等教育専攻 国語コース 学校推薦型選抜 小論文 模範解答
問1
ことばの本質についてバフチンの引用からわかることは、ことばが他者とのやりとりにあるということである。ことばを教えることもまた、この本質の展開として他者の尊重を前提としている。そもそも教育とは、社会の定めた「善良」「望ましさ」を元に、子どもを教え導くことだとされる。とはいえ、エッセーが示すように、ことばの教育においては、他者たる子どもとの関係の脈絡を抜きにして、一般的な「善良」を子どもに押し付ければ、子どもの成長に悪影響を及ぼすことがある。子どもは一人ひとり特別な存在であり、そのかかわり方も一般化不可能である。この不可能性ゆえに、ことばの教育はたしかに恐ろしいものである。だが、この教訓は一般的な「善良」そのものを問いに付す可能性をも秘めている。つまり、ことばの教育は、教育そのものにおいて問われざる前提となっている「善良」の意味をもう一度考え直させる契機ともなりうるのである。(391 字)
問2
「緊張感のあるコミュニケーション」とは、コミュニケーションの相手に合わせた、他者指向のコミュニケーションを意味している。とはいえ、それにはとどまらない意味も含まれている。なぜなら、他者指向のコミュニケーションは、つねに自分の「位置取り」に影響を与えるからである。つまり、コミュニケーションの最中、私は他者によって、自分の立場を問い質されるリスクにさらされている。これがまさに「緊張感」の意味であろう。
さて、これまで受けてきた国語教育のなかで、私は「緊張感のあるコミュニケーション」を感じたことがある。それは、私が小学5年生の頃、担任の国語教師が行った「漢字クエスト」なるゲーム感覚の漢字テストである。彼は、クラス児童の国語学力のうち、漢字の読み書きに問題があると判断したのか、このテスト形式を提示した。内容は、有名RPG ゲームさながら、児童が勇者、漢字が敵となり、漢字を書けるようになっていくにつれ勇者のレベルが上がるシステムになっていた。ゲームの最終目標は、最も難しい漢字が扮するボスを倒し、王国の平和を守るというものだった。私をはじめクラス一同がこのゲームを気に入り、それをクリアすることを目指して、反復ばかりでつまらないはずの漢字の勉強に積極的に励むことができた。
担任は若くはなく、こうしたゲームにも詳しくはなさそうであった。このゲームがクラスの児童に受け入れられるか、初めから分かっていたとは思えない。また、当時このような学習方法は一般的ではなかったと思われる。だから、担任にとっても、テストという形をとったこのコミュニケーションにはリスクがあったはずである。
しかし、こうしたリスクをとったからこそ、私たち児童は漢字に苦手意識をもたずに済んだ。私はこの教育法のメリットを実感しており、自分が教師になったときにも、類似した方法をとってみたいと思っている。
(778 字/400 字詰め原稿用紙2 枚に収まることを確認済み)
潜龍舎では、小論文対策についてご相談をお受けするオープンチャットを開設しております。このオープンチャットでは、試験様式を問わず大学入試小論文対策に関するご質問、ご相談についてお答えいたします。
オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」
【オンライン個別指導】 総合型選抜(AO入試)・ 学校推薦型選抜 / 小論文対策 専門塾 潜龍舎
スタッフ全員が博士号を有する現役研究者集団による総合型選抜/学校推薦型選抜対策、小論文対策指導 専門塾。総合型選抜・学校推薦型選抜対策をトータルプロデュース!小論文、志望理由書から面接、プレゼンテーション対策指導までアカデミック・スキルズにもとづいた本格の指導を行います。