2023年度 東京学芸大学 A類 初等教育専攻 国語コース・B類 中等教育専攻 国語コース 学校推薦型選抜 小論文 模範解答
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2023年度 東京学芸大学 A類 初等教育専攻 国語コース・B類 中等教育専攻 国語コース 学校推薦型選抜 小論文 模範解答
問1
言語習得・言語使用の本質として、課題文では身体の役割、社会性、感情の共有の三点が挙げられている。まず、身体の役割としては、非言語的行動がコミュニケーションにおいて重要な役割を担っている。また、手は読み書きにおいて記憶の促進や読みの深さに影響を与えているし、身体を用いたことばは思考に影響を与えている。次に、社会性については、言語活動の根幹として、他者との相互交渉が挙げられている。乳幼児の言語習得でも保護者との相互交渉がなければ効果が期待できない。最後に、感情の共有にかんしては、人間には本来的に、自分の興味、関心、情動等を他者に伝え、共感されたいという欲望があり、コミュニケーションはその表出であるという。また、感情と認知は切り離せず、言語習得においても、感情の如何によって習得の進度に影響が出る。このように、言語習得・使用の本質は、身体の役割、社会性、感情共有にあるとされる。(390 字)
問2
デジタル・テクノロジーを使い、人間の言語使用の本質にそった国語科の授業として、私はICT 端末を駆使した授業を挙げたい。なぜなら、この端末は、言語使用の本質である身体性、社会性、感情共有を損なわず、むしろ使い方によっては従来型の授業に増して生徒の言語習得に役立つからである。
高校におけるプレゼンテーションの授業を例にしよう。生徒が数人でグループを作り、何らかのテーマについてクラス発表をする。グループになった生徒たちは、意見をクラウドに共有し、とりまとめる。そのさい、受け手の理解を考えて、論理的に発表内容を再構成する。そのうえで、クラス全員に向けて発表し、教師やクラスメイトから意見を募る。
まず、こうした授業では、グループにおける意見共有において、出された意見をICT 端末によりデータ化・見える化して各人にイメージしやすくできる。さらに、アイデアをクラウドに保存すれば、生徒はいつでもそれにアクセスし、授業時間に限らず、他の生徒の意見を確認できる。こうして確認された意見を教師や他のグループの生徒に説得力をもって伝えるために、各人で協力して論理的な説明を考えることになる。そのさい文書作成ソフトのコメント機能を使えば、効率的に改善点を指摘し合えるだろう。これにより他の生徒との相互交渉がしやすくなる。最後に、まとめられた内容を実際に発表することで、教師やクラスメイトからフィードバックが得られる。
たしかに、感情共有という面では、相互干渉のしやすさは必ずしも肯定的な感情を生むとは限らない。しかし、感情的な対立を客観的、論理的観点から仲裁することこそ教師の役割だろう。また、端末に引きずられて授業の目的から離れるようなら、それを軌道修正するのも教師の役割である。このように、ICT 端末を使いながらも、教師という人間による介入は必要だと思われる。
(765 字/400 字詰め原稿用紙2 枚に収まることを確認済み)
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